マルチターゲットステップ

 高齢者において寝たきり、介護が必要になる大きな原因として運動能力低下による転倒骨折があり、この転倒を減らすことは重要な社会問題です。京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ではこれまで高齢者の転倒要因を調査してきました。この調査研究の結果、転倒を起こしやすい高齢者には「dual-task(デュアルタスク):二重課題」遂行能力が低下している事が明らかになりました。(このdual-task遂行能力というのは二つの課題を同時に遂行する能力を指します。)

 指定された1色のターゲットのみを踏み、他の2色は踏まずに歩くように指示します。このようなエクササイズを一定期間(個人差があります)継続することにより視線位置に変化が生じ、エクササイズ前は平均で1.2mほど前方という身体に近い箇所に視線が集中して歩行しておりましたが、エクササイズ後は2.5m先に改善されました。 先を見て歩行する事により、転倒骨折が減るという研究結果も出ています。

 転倒リスクの高い高齢者では、身体に近い箇所に視線が集中していることで、方向転換等の予測が不十分となり、とっさの判断が行いにくい。その結果、クロスオーバーステップのような危険な動作を選択してしまい、ターゲットを踏み外してしまっていたと考えられます。このような現象が日常生活で起これば、勿論、転倒という結果になってしまいます。また、このMulti-Target Stepを継続することで、視線が前方に推移し、踏み外し傾向が消失、さらには転倒予防効果も認められることが示唆されています。

 皆様も転倒されないよう、普段から身の回りの物に注意し、先を読み歩くようにして下さい。

名古屋市昭和区 デイサービス リハビリの家ふくざわ

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